広告費を月50万円かけているのに新規患者数が伸びない。Instagramは始めたものの更新が止まり、Googleの口コミも返せていない。大手チェーンの価格訴求に疲れ、次の一手が見えにくい——。
もし、こうした状況に心当たりがあるなら、この記事は「やることの優先順位」を整理するために役立ちます。
本記事では、美容クリニックの集患を SEO・MEO・SNS・広告・CRM まで12施策に分解し、限られた時間と予算でも取り組める順に要点をまとめます。
本記事は美容クリニックの運営者・管理者(開業医、マーケ担当者等)向けの一般情報です。個別の医療行為の効果を保証するものではありません。
なお、株式会社TENLIONは美容医療機器・製剤の開発・販売に加え、医師向けの技術研修や症例サポート、採用支援(JoBee運営)などを行っています。本記事は特定製品の訴求を目的とせず、運営実務の整理に資する一般的な情報提供として構成しています。
美容クリニックの集患とは?なぜ今、重要なのか
集患と集客の違い|医療機関特有の考え方
一般ビジネスで使われる「集客」は、来店・購入を増やす意味合いが中心です。一方、美容医療における「集患」は、適切な情報提供を通じて、治療選択に必要な理解を促し、来院と継続につなげるという考え方になります。
集患は「新規患者を増やす」だけで完結しません。実務では次の3つがセットです。
- 新規の獲得:見つけてもらう(検索・地図・SNS・広告)
- 不安の解消:比較検討を支える(説明・FAQ・症例の扱い方・導線)
- 継続(LTV):再来につなげる(LINE・フォロー・体験設計)
この全体設計が弱いと、広告だけ回してもCPAが上がりやすくなることがあります(※媒体、施術単価、予約導線により変動)。
2025年の美容医療市場|競争環境の変化
市場が伸びる局面ほど、参入・競合が増え、同質化しやすくなります。矢野経済研究所の調査では、国内美容医療市場は2024年に6,310億円(前年比106.2%)とされています。
需要がある一方で、同じエリア・同じ施術での比較が増え、「見つけてもらう」「選ばれる理由を伝える」の難易度が上がっています。
なぜ美容クリニックの集患は難しいのか?
医療広告ガイドラインの壁
美容医療は自由診療が中心で、表現の自由度が高いように見えて、実際は広告規制の影響が大きい領域です。厚生労働省が示す医療広告ガイドラインでは、虚偽・誇大、比較優良、体験談、術前術後の扱いなどで注意点が整理されています。
集患が難しい理由は、単に「規制が厳しい」ではなく、規制を踏まえた上で運用できる設計が必要だからです。
また、広告可能事項の制限が一部解除される「限定解除」には、一定の要件があります。Webサイト運用では、費用・リスク・副作用等の情報提供がより重要になります。
デジタルマーケティングの高度化
SEO、SNS、広告は年々「仕組み」が複雑化しています。特にSEOは、検索エンジン側が「人の役に立つ・信頼できる情報」を重視する方向性を明確にしており、表面的な対策だけでは伸びにくい傾向があります。
加えて、SNSは「継続運用」が難所です。院長が診療の合間に完璧を目指すほど、更新が止まりやすいのが現実です。
人材不足という隠れた課題
集患が伸びても、スタッフが不足すると予約枠が開かず、口コミや満足度が下がり、結果的に集患が鈍る——という悪循環が起きることがあります。
集患は「マーケだけ」の話に見えますが、実務では診療体制(人)× 導線(仕組み)× 発信(情報)の三位一体です。採用課題がある場合は、ここを切り離さない方が改善が進みやすい傾向があります。
【2025年版】美容クリニック集患施策12選
ここでは各施策を「役割」「費用感」「落とし穴」の3点で短く整理します。
① SEO対策|検索上位表示で"見つけてもらう"
施術ページが薄い、更新が止まる、根拠のない断定表現
ポイント:医師・クリニック情報、監修体制、FAQなどで信頼性を積む。
② MEO対策|Googleマップで地域の患者に届く
情報の不一致(NAP)、写真が古い、口コミ放置
- 基本情報(営業時間/電話/URL)を最新化
- 写真を定期追加(院内・導線が分かるもの)
- 投稿機能を月数回でも更新
- 口コミへ返信(低評価も放置しない)
- Q&Aを整備
- 予約リンク設定
- 属性情報を充実
③ Instagram運用|リールで認知拡大
ポイント:完璧主義で止まるより、「70点で継続」が重要。
④ リスティング広告|即効性のある集患手段
目安:媒体・LP・施術によりCPAは大きく変動します。
「問い合わせ」だけをCVにして学習不足、除外KW不足、LP弱い
⑤ YouTube動画、⑥ LINE公式、⑦ AI活用 ... ⑫ インフルエンサー
中長期的にはYouTubeでの信頼構築、LTV向上のためのLINE活用も有効です。
どの施策も「院の強み・信頼性」が言語化されていないと効果が半減します。まずはGoogleビジネスプロフィールの整備等、足元から固めるのが鉄則です。
施策の優先順位|何から始めるべきか
低予算・少リソースで始める場合
| 優先度 | 施策 |
|---|---|
| 1 | MEO(情報整備+写真+投稿) |
| 2 | 口コミ返信(テンプレ化) |
| 3 | Instagram(週2、70点で継続) |
予算があり、即効性を求める場合
| 優先度 | 施策 |
|---|---|
| 1 | リスティング広告(除外KW・LP改善が前提) |
| 2 | ポータル(プロフィールを作り込む) |
| 3 | MEO(取りこぼしを減らす) |
中長期的なブランド構築を目指す場合
| 優先度 | 施策 |
|---|---|
| 1 | SEO(施術×地域×悩み) |
| 2 | YouTube(不安解消の資産) |
| 3 | Instagram(認知導線) |
費用対効果(ROAS)を最大化する3つのポイント
CPAベンチマークと改善の考え方
CPAは「低いほど良い」ではなく、LTVとセットで判断します。目安(参考)として一定の幅を置いて検証するケースはありますが、施術単価や立地、媒体、LP、予約導線で大きく前後します。
LTV(顧客生涯価値)を高める戦略
LTVはざっくり平均単価 × 来院頻度 × 継続期間で捉えられます。集患で悩む院ほど、新規の前に「再来の設計」を入れると改善が進みやすい傾向があります。
- 術後フォローの標準化(説明・不安対応)
- LINEでのリマインド(次回提案の"押し付け"は避ける)
- FAQで問い合わせ対応を軽くする
医療広告ガイドライン準拠チェックリスト
- 最上級・断定(「日本一」「必ず」等)を使っていない
- 根拠のない効果表現になっていない
- 価格・リスク・副作用等の情報提供が不足していない
- 体験談の扱いが過度になっていない
- 比較優良(他院より優れている等)になっていない
- 未承認医薬品・医療機器の広告に該当しうる表現を避けている
- 表現チェックの担当者・手順が決まっている
成功事例3選|実務で参考にされやすい取り組み例
※以下は取り組みの「型」の紹介です。成果は立地・施術・体制・運用期間などにより変動します。自院の状況に合わせて再設計してください。
- 投稿の型(FAQ・院内導線・医師紹介)を固定
- AIで企画と原稿作成を時短し、継続しやすい形に調整
- KPIを「再生数」だけでなくプロフィール遷移・予約導線も含めて設定
- 情報整備、写真追加、投稿、口コミ返信をルーチン化
- 地図経由の流入が増え、広告比率を見直す方向へ
失敗から学ぶ|よくある集患の落とし穴
失敗①:広告代理店に丸投げして効果が見えない
対策:最低限「CPA・来院率・施術別」だけは院内で把握し、月次で確認。
失敗②:SNSを始めたが更新が続かない
対策:70点運用に切り替え、テンプレ化(曜日別テーマ)で回す。
集患成功のカギ|技術力とスタッフ体制
集患は入口で、最終的に口コミと再来を作るのは体験設計です。
- 説明が分かりやすい(不安を置き去りにしない)
- 院内導線がスムーズ(予約〜会計までの体験)
- スタッフ対応が安定(属人化しない)
技術研修、スタッフ採用など、マーケティング以外の地盤固めが結果として集患を楽にします。
2025年に向けて検討したい
美容クリニック集患の全体設計
集患は単発施策ではなく、MEO・口コミ・SNS・広告・LTV設計の組み合わせで安定しやすくなります。
迷ったら、まずはGoogleビジネスプロフィールの整備と口コミ返信から始めるのが現実的です。コストを抑えながら、改善の手応えを掴みやすい領域です。
実行してみると、「どこを直せば数字が動くのか」「表現として安全か」など、判断に迷うポイントが必ず出てきます。株式会社TENLIONでは、集患施策の進め方に関する相談に加え、技術研修・症例サポート、採用支援(JoBee)など、クリニック運営の課題に合わせた支援を行っています。
📚 参考文献
- 厚生労働省「医療法における病院等の広告規制について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/kokokukisei/index.html - 厚生労働省「医療広告ガイドライン等(資料掲載ページ)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/kokokukisei/index_00003.html - Google「Google のローカル検索結果のランキングを改善するヒント」
https://support.google.com/business/answer/7091?hl=ja - 矢野経済研究所「美容医療市場に関する調査(2025年)」
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3844